2012年8月17日金曜日

『音楽を始めたきっかけを教えて下さい』

(THE INTERVIEWSより)

 「音楽を始めたきっかけ」というのはこの場合、若かりし頃、楽器(ギター)を始めたきっかけ…みたいな意味合いで大丈夫でしょうか。では、それを前提に。
 大半が思い出話になりそうですから、適当に読み流して下さい。
 
 小学生の頃は、兄貴が買い集めていた歌謡曲のレコードをなんとなく聴いていた僕ですが、中学に入って急に、洋楽に目覚めたんですね。「日本の音楽なんてダッセェ!」てなもんで、ある時期から突然。

 時は80年代後半。ラジオ・TV・雑誌からの、今日とは比べ物にならないほど少ない情報源を漁っては、カセットテープやビデオ、そしてなけなしの小遣いで買った黎明期のCDを、繰り返し爆音で再生する日々でした。

 初めのうちこそヒットチャートに昇る曲やアーティスト、所謂ポップミュージックを追いかけていたものの、そこは中学生。より刺激のある音楽を求めて、また、周囲の数少ない洋楽好き友達の影響もあって、少しずつハードなロック音楽に傾倒して行きます。(この趣向は後にエスカレートし、スラッシュ、はたまたデス系メタルを好んで聴くまでに至るのですが…そういった話はまた、別の機会に。)

 そんな日々の中で、ロック好きな友人の一人が、ドラマーとして参加しているバンドでライブハウスのステージに立つと言うじゃありませんか。チケット買って見に来てくれないかという、例のパターンです。
 彼がドラムやってるなんて全然聞いたことがなくて、それも驚いたんですが、それ以上に、自分の年齢の人間がバンドなんかやっちゃうんだ、やっていいんだ、っていうのがカルチャーショックでしたね。

 何て言うかこう、ピアノなんかもそうなんですが、楽器を演奏するような人間は、自分とは違う世界を生きてるし、これからも自分はそことは乖離した世界を生きて行くんだみたいな、漠然としたイメージを持っていたと思うんです、それまでは。ほとんど何の音楽的バックグラウンドもない、本当にただの田舎の中学生でしたからね。

 まぁバンドったって所詮は子供(自分もですが)、きっと大したことないんだろうなんて思いつつ足を運んだライブ。思えばいわゆるライブハウスに足を踏み入れたのも、この時が初めてでした。

 驚きました。今にしてみれば、「それなりの」演奏だったに違いありません。でも当時の自分には、彼らが爆音で奏でるモトリークルーやポイズンの曲が、メチャクチャ整然と、音楽として響いて来たのでした。

 妙な焦燥感に襲われたのをよく覚えています。自分にも何か出来るんじゃないか。今まで考えたこともなかったけど、聴く側じゃなくて演る側・作る側に回るのって、意外と簡単なことなんじゃないか。そう思ったのがきっかけです。同級生の彼が、乖離した世界との壁を、その日一気に溶かしてくれたのでした。

 さて、楽器なんてろくに触ったことのない自分に何がやれるだろう。分からん。ロックバンドの花形はギターか。じゃあそれ。
 数日後には、ギターの教則雑誌を買い、家の物置に眠っていた古いフォークギターをつまびく自分がいました。ネックは反ってるし弦はサビまくり。親父が少しかじっただけで長年放置されていたそんなオンボロを、ピック代わりの10円玉で掻き鳴らす。それがスタートでした。

 しばらくして、念願のエレキを購入。少しずつのめり込んで行くことになります。ただ、そこからバンド活動に明け暮れるのかと言うと、そういうタイプでもなかったんですね。

 その辺りやそれ以降のお話はまた、別の機会がもしあればということで。ありがとうございました。

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